木下 悟

地域医療を推進する。
そのためにはデジタル化が必須タスクと考えます。

白山石川医療企業団 副企業長

木下 悟

新システム導入による変化

当院は、創設70周年という節目を機に、医療情報開示をはじめとした新たなサービスの導入を実施しました。なかでも患者様自身のスマホで待ち順番が見れる機能は、患者様が待ち時間を有効活用できるようになります。従来のように、院内の待合表示板の前で待ち続けるという形態は患者様にとって大きな時間のロスでした。しかし、患者様がいつでもどこでもスマホから待ち順番の確認ができることで、院内の喫茶店やコンビニで自由な時間を過ごしていただくことができるようになっています。
さらに当院では会計待ちの時間も短縮すべく、スマホ決済のシステム導入も検討しています。患者様が当日の支払いを、スマホ決済で支払うことができることになれば、診察終了後、患者様は会計を待つことなく帰宅することが可能になります。このように、患者様がよりご自身の時間を有効活用していただくことで、患者様の生活にも大きな変化をもたらしてくれるのではないでしょうか。

地域医療のあるべき形

当院は石川県白山市に根差す公立病院として、本来の機能である高度医療・救急医療体制の充実強化を図るとともに、医療・介護・福祉が一体となった地域包括ケアシステムの構築に取り組んでいます。2019年3月には予防と医療がコラボした健康増進センター「ダイナミック白山」が院内に誕生しました。現在、高血圧や糖尿病、狭心症などの生活習慣病は、患者数はもとより、予備軍とされる人々も非常に多いのです。これらは運動習慣の改善で治療や予防が期待できます。この施設では健診結果とあわせ、医学的根拠に基づいた運動療法や予防的な個別運動プログラムなどを提案しています。
総合病院として、治療だけでなく予防までカバーすることで、地域住民の健康寿命を延ばし、生活の質を向上させることを目指して地域社会に貢献できればと考えています。

そして今後、当院が小さな街のようになれば理想的です。例えば、病院をはじめ、フィットネスクラブ、福祉施設、保育園、役所などが集結し、「ここに来れば何でも解決することができる」と思ってもらえるコミュニティをつくるとか。まだまだ時間はかかるかもしれませんが、今後日本全国でこのような流れになるのではないかと予想しています。
現在、医療・介護情報の多職種間での共有の効率化はもちろんのこと、患者様とも共有するICTの導入検討が、地域包括ケアシステム構築を推進するうえで、必須と考えています。
高齢社会の到来、医師の偏在やマンパワー不足など、医療現場には課題が山積していますが、地域医療を推し進めていく中で、良質な医療を多くの方に届ける後押しをしてくれるツールとしてICTの活用を今後も検討し続ける必要があるでしょう。